日本刀に見られる反りは、どのような役目を果たすのか。西洋の剣において、反りが無く、まっすぐのものが多く存在する。それに反して日本万は緩やかに反っているのが一般的である。その2つの違いは、「突くための刀」か「斬るための刀
による違いがある。反りがあると「突く」のは不向きであることは直観的に理解できるとして、それではなぜ、反りがある刀は「斬る」ことを得意としているのだろうか。まずはじめに、コックが包丁で刺身を切る姿を考えてみよう。手に持った刺身包丁を向こう側から手前に引くと、角が立ったきれいな刺身を切ることができる。この「引く」動作が、物を切るときには必要である。ためしに、包丁を引かないで、刺身の上方より垂直方向に加えて力で切ってみる。切り口は乱れてしまい、とても人前でみせることはできないお造りとなってしまう。 日本万も同じく、「引く」ことで斬ることができる。そして、斬る作業は、肩を真ん中にした「円運動」となって、弧を描きだす。その弧に合った反りが入り、引く動作がより円滑な動作となる。